成年後見制度は2つ:法定後見と任意後見~少し詳しく~知る③

わかりにくい成年後見制度を少しずつ知っていただく特集です。番号順に読み進めて行くのも良いですし、わかっているところは読み飛ばしたり、興味のある所だけ読んだりして大丈夫です。

今回は3回目です。
テーマは法定後見と任意後見です。

一回目の記事では全体像をつかむために簡単にお伝えしましたが、今回は、もう少しだけ詳しくお伝えします。

本記事を読むと

・どういう場合に、どの種類の後見制度の対象なのか?


が、理解しやすくなります。

当サイトは、横浜市中区の「エコード行政書士事務所」が運営しています。

エコード行政書士事務所では、遺言書の作成支援を行っています。

目次

制度は大きく分けて二つ

1回目の記事にも書きましたが、
成年後見制度は大きく分けて二つの制度になっています。

一つは法定後見、もう一つは任意後見です。

法定後見はさらに3つの種類に分かれています。

法定後見は3つの類型

現在、すでに「判断能力が十分でない」人は、法定後見を検討する対象になります。

法定後見は、「どれくらい判断能力が不十分か?」で、類型が異なります。

法定後見の中で、もっとも判断能力が欠けているのが、「後見」の類型です。
その次に判断能力が欠けているのが「保佐」です。
判断能力の欠け方がいちばん少ないのが「補助」です。

民法の言葉も使ってまとめると、以下のように言えます。

判断能力がいつも欠けている  後見
判断能力が著しく不十分    保佐
判断能力が不十分       補助

法定後見:類型ごとに成年後見人等の権限が異なる

成年後見人等(法定後見は「成年後見人、保佐人、補助人」)は、判断能力が欠けた本人を支援する人です。
法律的な援助(=契約に関わることを行う)をするのが成年後見人等の役割です。

類型ごとに、本人の判断能力が異なる点は前の項目で申しました。

成年後見人等の支援できる権限(=できる範囲)も、類型ごとに異なります。
欠けている判断能力を補うようなイメージで良いと思います。

法定後見の「後見」について

後見類型の本人(=成年被後見人)は、法定後見の3類型の中で判断能力がもっとも欠けています。
その支援者である「成年後見人」は、法定後見の3類型の中で、もっとも幅広い権限があります。

本人のほぼ全ての法律行為を取り消したり、代理したりすることが可能です。

「ほぼ全ての」法律行為としているのは、例外があるからです。

例外的に取り消しできないのは、本人の日常生活に関する行為です。
例えば、コンビニでお茶を買ったとか、パンを買ったとか。こういうレベルのことは、いくら成年後見人であっても取り消しできないことになっています(民法9条ただし書き)。

法定後見の「保佐」について

保佐は、後見よりも判断能力がある方のための類型です。
ご自分でできることも残されているため、支援者である「保佐人」のできることは、「成年後見人」よりも少なめです。

「保佐人」は、以下のことができます。

・「重要な法律行為(民法13条1項)」の同意、取り消し
・民法13条1項以外の行為で申立てにより裁判所が定めた行為の同意、取り消し
・申立てにより裁判所が定めた行為の代理

法定後見の「補助」について

補助の本人である「被補助人」は、後見3類型の中で、判断能力の欠け方がもっとも少ない類型です。

補助人ができることも、成年後見人や保佐人よりも少ないです。

「補助人」ができること

・民法13条1項に書かれた「重要な法律行為」の一部についての同意、取り消し
・申立てにより裁判所が定めた行為の代理

任意後見

上記では、法定後見の類型ごとに、「どんな人が対象」で「どんな支援が予定されているか」といったことを簡単に見ました。

こんどは、任意後見について、簡単にお伝えします。

任意後見は、以下の1~6の流れで開始します。

1、 まず、「任意後見契約」を公正証書で結びます。契約の相手方は、本人の選んだ人で、「将来、任意後見人となってくれる人(任意後見受任者)」です。

2、 判断能力がある間は後見事務は何も発生しません。(すべて本人自身が今まで通り自分のことを行う。)

3、 時が過ぎて、本人の判断能力が低下した。

4、 任意後見受任者や本人は、家庭裁判所に「任意監督人選任申立て」を行う。

5、 任意後見監督人が選任される。(審判は2週間で確定)

6、 審判の確定後、任意後見受任者は「任意後見人」として、本人の後見事務を始める。

契約は判断力がある間に

「任意後見契約」は、契約を結ぶことが必要なので、「今、判断能力がある人」が対象です。

【重要】

「任意後見契約」は「今、判断能力がある人」が締結できる。

任意後見事務の開始は「判断能力が不十分になった後」

任意後見契約を結んでも、任意後見の事務は、すぐには始まりません。

【重要】

任意後見は、契約しても、すぐに始まらない

任意後見も、判断能力が不十分になった方を支援する仕組みです。
契約ができるほどにしっかりしているならば、まだ支援は始まりません。

任意後見について:その他

「任意後見契約」の内容により、任意後見人が行えることが決まります。
「任意後見契約」は、契約で決めた「代理行為」ができるのですが、法定後見のような「同意」や「取り消し」の権限はありません。

また、任意後見人の報酬を無報酬にする契約が可能ですが、任意後見監督人については報酬が発生します。

まとめ

・法定後見の3類型で後見が「もっとも判断能力が欠けている」
・法定後見の中で、成年後見人等の権限はそれぞれ異なる。欠けている分だけ権限が広範囲
・任意後見は「任意後見契約」によるため、契約時に判断能力が必要

法定後見の3類型と任意後見について、以前にお伝えした①の記事よりも少し踏み込んだ話をしました。
まだまだ掘り下げることが多いので、後日またお伝え出来たらと思っています。

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