任意後見契約の費用は?開始後の報酬など~お金のまとめ~

任意後見は、元気な時に契約をしておくことが必要ですが、費用がかかります。

本記事では、

任意後見の「お金」関係をまとめて、お伝えします。

本記事は、

・契約についての費用

・任意後見が始まる際の申立費用

・任意後見が始まった場合の報酬

・任意後見監督人の報酬

という内容です。

正直に申し上げますと、契約で決まる部分については
具体的な金額を伝えられません。

契約の内容によって金額が異なるからです。

ただ、

・どんな時に費用がかかるか?
・情報が出ている費用の金額(公証役場や家裁)は、どれくらいが目安なのか?

という点を知っていただければと思います。

本記事は、任意後見の「お金」が主な内容ですが、
任意後見契約の概要についてはこちらの記事をご覧ください。↓

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目次

任意後見契約の費用

任意後見契約は、公正証書で契約書を作成します。

本人と任意後見人になる人が公証役場に行き、
公証人が公正証書を作成する形になります。

そのため、公証役場に手数料を支払う必要があります。

各公証役場のWebサイトに任意後見契約の手数料が記載されています。

統一されている内容なので、公証人の連合会のWebサイトにも掲載されています。

以下のような内容です。

・基本手数料 1万1000円(契約書4枚)
・契約書が一枚増えると、一枚につき250円
・正本代  250円X枚数
・謄本代  250円X枚数
・謄本代(登記用) 250円X枚数
・登記嘱託手数料 1400円
・登記手数料(収入印紙) 2600円

その他、郵送料が加算されます。

上記の数字が出ているだけでも18000円。プラス郵送料。

公正証書の枚数が増えた場合は、さらに加算されますので、

だいたい、25000円くらいと考えられます。

専門家への報酬

任意後見人になる人が、
弁護士等の専門職・専門家である場合、

通常、
上記手数料とは別に、専門家への報酬が必要になります。

契約を結ぶ際、

・本人と打ち合わせをする
・公正証書の原案を作成する
・公証役場で契約をする

という点について専門家への報酬が発生するものと考えられます。

公証役場に支払う手数料とは異なります。

報酬は、専門家によって金額が異なりますので、
事前に調べたり、問い合わせたりしましょう。

個人的な見解ですが、
20万円くらいかかるのではないか?と思います。

(個人の自由ですし、個人的な見解なので、
前後することも当然あります。ご了承ください。)

詳しくは、専門家のWebサイト等をお調べいただければと思います。

専門家以外の人は?

専門家以外の人が任意後見人になることも可能です。

自由に選べます。親族も可能ですし、法人も可能です。

親族が任意後見人になる場合であっても、
報酬アリとする契約が可能ですし、報酬をナシとする契約も可能です。

専門家以外の人が任意後見契約の相手方になる場合(会社・一般社団法人等)であっても、

任意後見契約締結の際に、打ち合わせの分や原案作成・相談などについて

弁護士などと同じように報酬を求められるかもしれません。

相手方に、しっかりと確認して、契約手続きを進めましょう。

そして、以下はお願いです。

相手方が会社等であると細かい規約などがあると思われます。
内容がよくわからない場合は、契約の前に、
誰か他の人(専門家)に相談してください

任意後見監督人選任の申立費用

任意後見は、公正証書で契約を結んだらおしまい・・ではありません。

本人の「判断能力が不十分になった」ときに、
家庭裁判所に申し立てを行います。

この申し立ては
任意後見監督人選任」の申立です。

この申し立てを行い、審判が確定すると、
任意後見が開始されます。

任意後見監督人選任の申立は、
家庭裁判所に行いますので、家庭裁判所に手数料を収める必要があります。

また、診断書等が必要です。

診断書の料金は、医療機関によって異なりますが、高くても1万円前後という話は聞きます。

費用の計算例は以下のとおりです。 (診断書を1万円と仮定します。)

~申立費用の計算例~

申立手数料     800円
登記手数料    1400円
戸籍全部事項証明書 450円
不動産の登記事項証明書  600円
任意後見の登記事項証明書 550円
診断書  10000円
郵便切手代(家裁が指定する金額の切手を用意。書類送付用。)

上記の数字13800円 プラス 郵便切手代・数千円=2万円前後

以上のとおりで、だいたい2万円くらいかかると言われています。

個別の具体的な金額は、状況により異なります。

参考程度にお考えいただきますよう、お願いいたします。

任意後見人の報酬

任意後見の契約を結んだ後、

本人の判断能力が不十分になったら、

任意後見監督人選任の申立を行います。

任意後見監督人が選ばれた審判が確定すると、任意後見が始まります。

任意後見が始まったら、任意後見人に報酬を払います。

任意後見人への報酬は、いくらなのか?

それは、

任意後見契約の内容しだい

です。

契約を結ぶ前の話し合いで、報酬の金額を決めます。

だいたいどれくらいか?が、気になるところですが・・・

例えば、東京都港区のWebサイトに

「成年後見制度(法定後見・任意後見)の説明会に関する意見書」というWebページがあります。

その中で、成年後見に関する費用について書かれていますが、

任意後見人の報酬額については具体的に触れられていません。

「契約」という性質上、自由な設定となるため、基準がありません。

公的な統計がない限り、簡単に金額を伝えることができないものと思われます。

なお、任意後見監督人にも報酬を払います。詳しくは後述します。

法定後見との比較

後見人の報酬について、

任意後見ではない、法定後見であれば家庭裁判所が作成した報酬額の目安が公表されています。

各家庭裁判所が出している「法定後見の」報酬額の目安は、以下のとおりです。

~法定後見:報酬額の目安~

成年後見人等の報酬額は月2万円が目安とされています。

本人の財産が高額である場合は、月3~5万円が目安とされています。

実際は、個々のケースを総合的に判断して家庭裁判所が法定後見の後見人の報酬額を決めるため、「目安」となっています。

なお、法定後見において特別な事務が生じた場合、「付加報酬」が発生する場合があります。

報酬を請求する場合は、「報酬付与申立事情説明書」という書面を家裁に提出します。そこに記載されている「付加報酬」に該当するケースとしては、訴訟行為、遺産分割協議への対応、不動産の任意売却などがあります。これらの対応を行った場合、月額の報酬のほかに、相当の金額が加算されて報酬額が決められます。

個人的な見解

個人的な見解ですが、任意後見の報酬額について、

任意後見を専門職にお願いするならば、法定後見よりも高額になるのではないか

と思います。

理由として

法定後見は、難しいケースを任されるけれども専門家の報酬額に反映されない現状があるから

です。

~参考:厚労省Webサイト~ 成年後見制度利用促進専門家会議
第4回 成年後見制度の運用改善等に関するワーキング・グループ
弁護士後見人の成年後見業務に関する報酬実態アンケート調査の分析結果について

家庭裁判所が報酬額を定めるので、そのまま受け入れるしかない状況です。

「なかなかご本人に会いに行かない専門家がいる」という批判もあるようですが、難しいケースに頑張って対応する専門家もいます。

難しいケースに誠実に対応する専門家にとっては、「相応の報酬をいただいた上で責任ある対応をしたい」・・というのが本音だと思われます。

そのため、任意後見契約により任意後見人になろうとする専門家は、
この法定後見の目安よりも高額な報酬をいただくケースが多いのではないか・・と思っています。

「法定後見よりも任意後見の方が高額な報酬額になる」と言う専門家もいます。

もちろん、何かのご縁があって、法定後見の報酬の目安よりも低額の報酬とする内容の
任意後見契約を結ぶことも、制度上は可能
です。

話し合いしだいです。

相手の方が納得すれば良いのです。

希望の金額に見合う専門家に出会うまで、いろいろな専門家と会ってみるのも一つの方法ですが、

以下の点も留意いただければと思います。

・ご自身の体調などを考えて、無理のないように

・考えている間に「判断能力が低下して契約を結べなくなる」ということのないよう、
 ある程度納得できる報酬額も検討しながら相手方をさがす

任意後見人に誠実な対応を求めるならば、それなりの報酬額が必要なのかもしれません。

以上、個人的な見解ではありますが、現状を踏まえた考え方をお伝えしました。

実際には、専門家の考え方によりますので、参考程度にとらえていただければと思います。

任意後見監督人の報酬

任意後見監督人の報酬額は、家庭裁判所が決めます。

各家庭裁判所から報酬額の目安が公表されています。

目安として月1~2万円程度とされています。

本人の財産が高額な場合、2万5千円から3万円程度とされています。

注意していただきたいのは、以下の点です。

・任意後見が始めるとき、任意後見監督人は、必ず就く。
・任意後見監督人を選べない(家裁が選ぶ。候補者を挙げることもできない。)。
・任意後見が始まったら、基本的に亡くなるまで続く。

したがって、

任意後見が始まったら、亡くなるまで、月1~2万円の報酬を、

任意後見監督人にも必ず払う

ことになります。

したがって、任意後見人への報酬にプラスして、任意後見監督人にも報酬を支払います。

たとえ、任意後見人への報酬を0円(無報酬)とした任意後見契約だったとしても、
任意後見監督人の報酬は必要です。

任意後見監督人は、弁護士や司法書士が、家裁から任されて、仕事として行います。

任意後見契約によるわけではありません。

任意後見監督人は、専門家が任されますので、

専門家が「無報酬」で仕事をすることは、基本的に「ない」

とお考えください。

親族が後見人になると親族が後見人としての報酬を請求しないケースもあります。しかし、「後見監督人」は専門家が就くものであり、「親族である後見人」とは状況が異なります。

見守り契約などを同時に契約するケースも

任意後見契約は、公証役場で、公正証書を作成する形で結びます。

この際、同時に

「見守り契約」「財産管理契約」「死後事務委任契約」

を行うことも多くあります。

また、

「遺言書」

も公正証書で作成するケースもあります。

これらの契約書等を公正証書で作成すると、契約時に費用がかかります。

契約内容の事務が発生するときには、その分の報酬も支払うことになります。

ただ、良い備えができることと思います。

今は「こういう契約もある。任意後見とは別だけど関連がある。」と知っていただければと思います。

おわりに

任意後見契約の費用について、お伝えしました。

任意後見に必要な費用(誰もが払う分)としては、

・公証役場に支払う手数料等
・任意後見監督人選任の申立費用
・任意後見監督人に払う報酬

また、任意後見利用時に、
必要に応じて払う費用(契約内容による分)としては、

・任意後見契約時に相手方(専門家)に払う報酬 (⇔親族が相手方ならほぼ不要)
・任意後見開始後、任意後見人に払う報酬    (⇔無報酬の契約なら不要)

・・と、このようになります。

特に「任意後見監督人」への報酬については見落としがちになりますので、この機会に覚えていただければと思います。

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