成年後見制度を少しずつわかって行けたら、というシリーズの2回目です。
成年後見制度を使おうと考える方は、
「高齢で心配だから」という方が多いように思います。
本記事では
高齢だからという理由だけで、すぐに成年後見制度を使えるのか?
という内容をお伝えします。
当サイトは、横浜市中区の「エコード行政書士事務所」が運営しています。
エコード行政書士事務所では、遺言書の作成支援を行っています。
基準は「判断能力」
成年後見制度は、判断力が不十分な方を法律的に支援する制度です。
「判断能力」について注目する必要があります。
以下は、断りがない限り「法定後見」の話になりますが、
「高齢だから」という理由だけですと、すぐに成年後見人をつける対象ではありません。
大事なのは「判断能力」です。
高齢の方であっても、判断力がしっかりしている方も多いです。そのため、
「高齢」という理由だけで、イコール「判断能力が不十分」とは言えません。
「高齢」であるだけとか「身体が不自由」であるだけとかの場合は、制度の対象ではありません。
基準は
「判断能力が不十分なのか」
です。
言葉を発するのが困難なお身体であっても、判断能力があれば、すぐに成年後見制度を使う対象にはなりません。
名前を書くのが難しいお身体の方であっても、判断能力があれば、すぐに成年後見制度を使う対象にはなりません。
逆に
若いけど判断力がない方、
身体は元気であっても判断力が十分でない方
であれば、
成年後見制度の利用を検討する対象
と、なります。
高齢の方は、体が元気かどうか?というよりも、「高齢」というだけでなく、
「高齢かつ判断能力が不十分」
という方は、成年後見制度の利用を検討する対象です。
まとめて、具体例をお伝えすると
・高齢かつ判断能力が不十分な方
・成人で若いけれども知的障がいや精神障がいなどにより判断能力が不十分な方
このような方々は、成年後見制度の利用を検討する対象であると考えて良いです。
元気な高齢者が利用できる? ~答えは~
「高齢だから」という理由だけで、
「元気な高齢者が制度を利用できるか?」の問いに対しては、
身体の機能が「元気に動くかどうか?」は関係ありません。
大切なのは、
「判断能力が不十分か?」どうかです。
という答えになります。
今、判断力があるなら「任意後見契約」
では、判断能力が低下するまで何もできないのかというと、そうではありません。
判断能力がある間にできることは「任意後見契約」を結んでおくことです。
信頼できる人と「任意後見契約」を結んでおき、判断能力が低下したときに、任意後見人に後見事務を開始してもらうという備え方があります。
任意後見契約を結んだあとであっても、判断能力がある間は、任意後見人としての後見事務はありません。
判断能力が低下した後は、「任意後見監督人」の選任を家庭裁判所に申し立てます。
任意後見監督人が選任されますと、任意後見人としての後見事務が始まります。
判断能力の有無は誰が判定?
話が噛み合わない。
同じ話を延々としている。
話し相手をきちんと認識していないかも。
このように、判断能力があるか?不十分なのか?・・と、心配なケースもあると思います。
「本当に判断能力があるのかどうか」を「誰が判定するのか?」というと、
判断能力の有無の判定は、医師が行います。
後見制度の利用について、家庭裁判所に申し立てを行う場合は、
後述する、「後見申立て用の医師の診断書」を書いてもらうことになります。
診断書について
成年後見の申立てをするには家庭裁判所に申立書を提出しますが、その際、医師の診断書が必要です。
後見申立て用の診断書がありますので、それを使用します。
一般的な診断書の様式とは違うので、注意が必要です。
費用は 医療機関によって異なりますので、各医療機関に問い合わせることをおすすめします。
あくまでも目安ですが、5,000円から10,000円くらいであることが多いようです。
診断書を書いてもらうには
判断能力の判定について、
医師の中でも、得意としている先生とそうでもない先生がいるようです。
本人をよく知っている「かかりつけ医」であっても、必ずしも後見申立て用の診断書を書いてもらえるわけでもない、ということもあるようです。
精神科の医師は、比較的応じてもらいやすいようです。
内科は様々な専門分野があるので、一度質問してみると良いと思います。
かかりつけ医が診断書を書けない場合は、かかりつけ医に他の医師を紹介してもらうのも一つの方法だと思います。
いずれの医療機関に行く場合にも、あらかじめ電話等で「後見申立て用の診断書を書いてもらえるか」問い合わせをしてみることをおススメします。
診断書作成の医師を探すために
成年後見申し立て用の診断書を作成してもらいたいが、
まったく医療機関が思い当たらないい・・という方もいらっしゃるようです。
その場合、自治体の情報を活用できたら良いと思います。
自治体が、認知症の方をサポートするWebページを作成しているケースがあり、
認知症に詳しい医療機関が掲載されている場合があります。
市区町村だけでなく、都道府県のWebページも探してみることをおススメします。
また、自治体の、認知症サポートについて担当している部署に問い合わせてみることも一つの方法だと思います。
まとめ
・成年後見制度をすぐに使うか?は「判断能力」が不十分かどうかが大事
・お体が不自由であっても「判断能力」があれば成年後見を使えない
・判断能力がある人が備えるなら「任意後見契約」を結んでおく
・「判断能力」が不十分かどうかは医師の診断による
高齢だから・・と心配になる方も多いと思います。
判断能力があるうちは、成年後見制度を使う対象にはなりません。
もしも、判断能力があるときなら、早めに、任意後見契約を検討していただきたいと思います。
将来の備え:遺言書の作成も
終活をお考えなら、遺言書の作成もぜひ行っていただきたいです。
遺言書は、高額な財産がある人だけが対象ではありません。
預金だけ、不動産だけ、という方も、遺言書の作成をおススメします。
相続人間での話し合いを省く効果があるからです。
また、相続人間の話し合いがスムーズであるとは限らないからです。
協議が折り合わず、不仲になってしまうことは避けたいところです。
エコード行政書士事務所では、遺言書の作成支援を行っています。
後でいい・・と思っていると、なかなか作成できません。
この機会にぜひお問い合わせください。
女性行政書士がソフトに対応いたします。
当事務所は、横浜市・桜木町駅徒歩4分です。
任意後見について、下記の記事も参考になさってください。
任意後見の費用については、こちらの記事も参考になさってください。