任意後見契約では、将来後見人になる人を自分で選んで契約できます。
これが大きなメリットです。
親族も任意後見契約の相手方(=任意後見人)になることができます。
では、親族が任意後見人になる場合、報酬はどうしたら良いのでしょうか。
本記事では、
任意後見契約で「親族が任意後見人」になるケースの「報酬」について
お伝えします。
任意後見の概要については、下記の記事をご覧ください。
また、任意後見のお金関係全般については、下記の記事をご覧ください。
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任意後見人の報酬
任意後見は、財産管理と身上保護(身上監護とも言います)の面において、将来支援をする仕組みです。
任意後見を行うには、判断能力がある人が、将来判断能力が不十分になったときに備えて、将来任意後見人になってくれる人と契約を結びます。
任意後見は「契約」なので、将来支援を希望する支援内容を当事者同士で話し合って決めます。
契約内容は、財産管理と身上保護に関連する内容になります。
当事者同士で決める内容の中には、「報酬」の金額も含まれます。
任意後見人の報酬も当事者同士の話し合いの中で、自由に設定します。
そのため、任意後見契約においては、
報酬が有るケース
報酬が無いケース
・・という、二つのパターンがあります。
「無報酬とする」という言葉を、任意後見契約の中に入れますと、無報酬の契約になります。
一方、任意後見監督人の報酬は自分たちで決められません。
こちらの記事も参考になさってください。→→任意後見の費用~お金のまとめ~
任意後見契約、親族と結ぶ。報酬は?
前項のとおり、任意後見契約は、
報酬が有る契約でも良いですし、
報酬が無しの契約でも良いです。
ただ、実際には、
専門職(弁護士などの専門家)は、基本的に、無報酬では引き受けません。
無報酬とするのは、親族が多いと思われます。
もちろん、親族であっても、報酬有りの契約にして良いのです。
割り切って、報酬有りとしておくのも、一つの良い方法だと思います。
親族だから無報酬が良いとも言えない
と思われます。
ご本人の資産状況などを考えて、また、次項をお読みいただいた上で、
よく検討されることをおすすめしたいです。
任意後見契約、親族と結ぶ。注意点は?
任意後見契約の後、任意後見の事務がスタートします。
後見事務が始まるときだけでなく、契約時・契約前から、気を付けたいところがあります。
気を付けたいところとは、
親族の関係性
です。
特に、
任意後見人がご本人の推定相続人であって、かつ、任意後見人の他にも推定相続人がいる場合
は、関係性に注意した方が良いと考えます。
注意が必要な理由とは
結論から申しますと、
推定相続人の「相続財産の取り分が減るから」です。
任意後見について、ある程度は費用が必要です。
費用は、ご本人の財産から支払われます。
ご本人の財産が減って行くと、将来の相続財産が減ることにつながります。
となると、ご本人を将来相続する他の推定相続人が良く思わない・・となります。
すると、後見事務にクレームをつけられる、その後の相続の際に遺産分割協議がスムーズに進まない・・といったことが心配されます。
ご本人の親族との関係性について、悪循環につながってしまうのは、避けたいところではないでしょうか。
遺産分割において
報酬が有ることが、ある意味、遺産分割の対策になる・・とも言えます。
相続税対策と言いたいのではありません。
無報酬であると、任意後見を引き受けた親族にとっては、「相続時に遺産を多くもらいたい」という気持ちが大きくなりがちです。
その気持ちから、遺産分割協議の際、話し合いが難しくなることも考えられます。
報酬を受け取っておけば、遺産で取り戻す気持ちにブレーキがかかり、ある程度納得した気持ちで過ごせるのではないかと思われます。
契約前から
ご本人の後見事務をスムーズに進めるため、また、その後の親族としての関係性を良いままにしておくためにも、基本的には、次のことを心がけると理想的かと思います。
任意後見契約の前から、親族に相談し、納得してもらう
ただし、納得が得られるまで長時間かかりそうで、その間に判断能力が低下する・・ということでは、本末転倒です。
ご本人の利益を第一に考えて、
円満に進められそうなら、相談して進めてみる・・という程度でも良いのかもしれません。
あくまでもご本人のための契約
ご本人が将来安心して過ごすための任意後見契約であることは間違いありません。
そのために、ある程度の支出が待ち受けることも当然のことです。
推定相続人に遠慮せずに、将来の備えをすすめて良いですし、むしろ当然のことかと思います。
ご本人様が安心して老後の備えをすることが出発点・・ということを忘れずにいたいところです。
任意後見監督人には報酬を払う
任意後見は、ご本人の判断能力が不十分になったときに、「任意後見監督人」が就くと、支援が始まります。
任意後見監督人は任意後見契約の書面に契約者として登場しません。契約の当事者に、任意後見監督人は含まれません。
でも、任意後見監督人が必ず就きます。
法律の規定があるからです。
任意後見監督人は、家庭裁判所が選任します。
任意後見監督人には、報酬が発生します。
任意後見監督人は弁護士や司法書士が就くからです。
「報酬」という点では、
親族が仮に「無報酬」「報酬なし」で任意後見人を引き受けたとしても、
任意後見監督人には報酬が発生します。
注意していただきたいところです。
報酬については、下記の記事に詳しく書いています。あわせてご覧ください。
おわりに
本記事では、親族が任意後見人になる場合の報酬についてお伝えしました。
任意後見契約を行うご本人や相手方との関係性、ご本人の資産状況によって、対応も微妙に異なるかもしれません。
ご本人の支援を第一に考えていただければと願っております。
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