突然入院することになった時、
手伝ってくれる人はいますか?
自由に外へ行けなくなるのに、
病院への支払い、
身の回り品の手配、
留守宅の事務(家賃の支払い、光熱費の支払いなど)は、
発生します。
意思表示が難しい状態になると、
医療同意を誰がどのように行うか?も問題になります。
本記事では、
緊急入院時の対応を誰にお願いするか?
~事務的な面と医療同意の面から~
具体的に考えます。
予定されていた入院についても応用できます。
当サイトは、横浜市中区のエコード行政書士事務所が運営しています。
福祉事業所で後見関連に従事したので、法律・福祉の両面からお伝えします。
誰に頼る?
終活は、遺言書を作成するだけではありません。
生きている間のことも対応を考える必要があります。
例えば、
入院時の対応はどうでしょう。
突然入院した時、誰が身の回りのことをしてくれますか?
入院すると、病院の手続きや支払い、着替えの手配などが必要。
なのに、自分では動けません。
さらに、保証人を求められると思われます。
ご家族にお願いできる人は良いですが、
以下の方は心配です。
・親族がいても疎遠な方
・お子さんがいても遠方で頼れない方
こういった方は意外と多いと思います。
甥・姪について
きょうだいのお子さん(甥・姪)と親交がある方もいらっしゃいます。
ただ、
【見落としがちなこと】
甥や姪は、本当に頼れますか?
甥や姪は、
自分の親や義理の親で手一杯
・・ということもあります。
甥や姪にしてみると、
伯父(叔父)や伯母(叔母)の優先順位は、親や義理の親よりも後になってしまいます。
自分の子どもでさえ、本当に頼りになるのか疑問に思っても不思議ではないのに、
甥や姪に頼ろうとするのは、難しいかもしれません。
普段から厚い親交があって、甥御さん姪御さんに余裕がある時期であれば、
伯父(叔父)伯母(叔母)のお手伝いすることも可能かと思いますが、
厚い親交がない場合は、甥や姪に期待しない方向で備えることをおススメします。
対応をお願いできる人 ~三つの条件~
緊急時の対応をお願いできる人は、以下の3つの条件に当てはまる人だと考えます。
1,入院費の支払いに協力してくれる
2,身の回りの支援もしてくれる
3,親族との連絡を取ってくれる
この三つの条件に当てはまる人とあらかじめ話をしておきましょう。
ナゼ「親族と連絡?」
前項で、
「親族と連絡」が出てくるのは、「医療同意」の問題があるからです。
「医療同意」は、治療の方針をどうするか?の意思表示をすることです。
お金を代わりに支払うのとは異なり、
本人自身の大切な権利です。
通常、他人が同意できません。
成年後見人がついていても、
成年後見人は医療同意ができません。
成年後見人は、入院・退院の手続きや支払いをしっかり行います。
しかし、医療同意の面では、親族に連絡をする役割にとどまるのが現状です。
本人に意思表示ができない場合は、親族が医療同意をするよう、医療者から求められます。
もっとも、本人の意思を推定しながら、慎重に医療同意を行うことが基本です。
親族が、遠方であったり、多忙であったりして、
入院時の対応をお願いできなくても、
医療同意は、やり取りできるようにしておきたいところです。
困ることは
各種の支払いが滞ることが心配です。
入院前に引き落とし等で対応できていたことは、しばらくの間は大丈夫としても、
特に、病院の支払いは難しいという人も多いと思われます。
引き落としの対応が難しくなる場合も、
問題になります。
【例】
収入の口座から一部の金銭を移動させて、
別口座から引き落としていた場合。
移動を自分で行っていた時は良かったのに、入院するとできなくなり、
滞納→ブラックリスト入り・・となる恐れもあります。
滞納してしまうと、
例えば、その後の引越しが難しくなる恐れも出てきます。
家族・親族以外の選択肢
同居の家族がいれば良いですし、
近くに家族がいれば良いでしょう。
しかし、それ以外の方は、
対策を検討することをおススメします。
選択肢としては次のとおりです。
・任意代理
・見守り契約と任意後見契約
任意代理
任意代理契約は、「自分の代わり」に「特定のことをしてもらう」よう、
相手方に依頼することで成立します。
入院時に
・費用を支払ってもらう
・手続きをしてもらう
・遠くにいる親族と連絡をとってもらう
という依頼を、信頼できる方にお願いしておくのも良いと思います。
ただ、
・費用をどのように預けるか?
・代理人への報酬をどうするか?
について、よく検討し話し合う必要があると思われます。
見守り契約と任意後見契約
任意後見契約は、元気なうちに備えておく「後見」に関する契約です。
将来、任意後見人になってくれる人と、公正証書で契約書を作成することによって成立します。
ただ、契約を結んだだけでは任意後見の事務は始まりません。
契約後、判断能力が不十分になったあと、
任意後見監督人が選任されたときに後見事務が開始します。
任意後見の事務が始まる前に、本人の様子を見ておく必要があります。
「判断能力が不十分か?まだ認知症ではないか?」を知っておくことにより、
任意後見を始めなくても良いのかどうかを判断するからです。
そこで、任意後見契約とともに、「見守り契約」を結ぶことが多くあります。
見守り契約をすることによって、任意後見の相手方(=任意後見受任者)が
定期的に本人と面会し、本人の状態を把握します。
日ごろよく会うことにより、緊急時の対応もしてもらいやすくなると思われます。
任意代理と同様に
・費用の預け方
・相手方の報酬
について、よく話し合うことが必要でしょう。
※任意後見について、こちらの記事も参考にしてください。
誰が対応するか決まったら、室内に掲示
「誰が」緊急時に対応してくれるか?について
自分の中で明らかにしましょう。
そして、対応してくれる人によくお願いしましょう。
引き受けてくれるならば、
その連絡先を紙に書いて、
自宅内のわかりやすい所に示しておくと良いです。
ただし、玄関は、いろいろな人が見るかもしれません。
個人情報に当たるので、玄関は避けた方が良いと思います。
他人が見る恐れのない室内であって、
救急隊がわかりそうな所に掲示しておくと良いでしょう。
おわりに
対応を、家族以外の誰かにお願いするとなると、費用がかかります。
考えをまとめると同時に、経済的な面も頭に入れておきたいところだと思います。
若いうちから備えておきたいものです。
将来のことを本気で考える:遺言書作成
将来のことを本気で考えると、任意後見・見守り契約のほか、遺産相続のことも検討したいところです。
遺言書は、財産が高額の人が対象ではありません。
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