亡くなった方の戸籍は、相続手続きに利用します。
ただ、戸籍一式となると、量が多くなりがちです。
手続きのたびに、窓口の方が戸籍一式を読み込むことになり、
時間がかかります。
でも、そんな不便さを軽くしてくれる書面があります。
法定相続情報一覧図
です。
本記事では、
・法定相続情報一覧図とは
・法定相続情報一覧図を入手する方法とは
を中心に、お伝えします。
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法定相続情報一覧図とは
「法定相続情報一覧図」は、
簡単に言うと
「亡くなった方の相続人を証明する」一枚程度の書面
です。
亡くなった方(被相続人)の戸籍は、枚数が多くなるのが通常です。
生まれてから死亡するまでの戸籍を集めて、それらの戸籍によって「誰が相続人であるか?」を証明するからです。
ですが、「法定相続情報一覧図」は、
「亡くなった方(被相続人)の法定相続人が誰か?」を表にしてまとめた書面になります。
戸籍の情報をまとめた書面とお考えください。
正確に申しますと、
もとになる図が「法定相続情報一覧図」、
法務局で認証されて、法務局が交付する図が「法定相続情報一覧図の写し」
です。
法定相続情報一覧図の写しの交付は、「法定相続情報証明制度」の中で運用されていて、法務局が担当しています。
効果
法務局で交付された「法定相続情報一覧図の写し」を
相続手続き先(銀行など)に提出すると、
被相続人の戸籍一式の代わりとして対応
してもらえます。
簡単な流れ ~法定相続情報一覧図を入手する~
便利な「法定相続情報一覧図の写し」をどのように取得するのか。
簡単な流れは次のとおりです。
1,相続人のうち一人が「申出人」となって、
法定相続情報一覧図を作成します。
2,申出人が、法定相続情報一覧図・申出書・被相続人の戸籍一式などとともに
法務局に持参(または郵送)します。
3,申出人が作成した一覧図に法務局が認証文を加えたものが
「法定相続情報一覧図の写し」となり、法務局から交付してもらいます。
相続人が「配偶者と子4人くらいまで」ならば一枚でおさまると思います。
相続人が多い場合は複数枚になります。
どこの法務局?
どこの法務局に依頼するか?は、決まりがあります。
以下を管轄する法務局が、法定相続情報一覧図の対応をします。
被相続人の本籍地
被相続人の最後の住所地
申出人の住所地
被相続人の不動産の所在地
上記のうち、1か所(任意)の法務局に対応してもらうことになります。
法定相続情報一覧図、作成のメリット
法定相続情報一覧図を作成し、その写しの交付を受けるメリットは次のとおりです。
メリット
1,手数料は無料
2,同じ戸籍を何通も請求しなくて済む
3,相続手続きの時間を短縮できる
メリットについて、少し補足します。
1,手数料は無料。※元の戸籍等は負担があります。
先述のとおり、法定相続情報一覧図については、法務局が担当します。
法定相続情報一覧図は、申出人が作成します。
法定相続情報一覧図の作成に誤りがない場合は、法務局が認証文を入れて、それを法定相続情報一覧図の写しとして使えるようになります。
法定相続情報一覧図の写し(=認証文入りのもの)は、無料で法務局に請求できます。
枚数制限はありませんので、必要な部数を無料で交付請求できます。
また、足りなくなった場合でも、5年以内であれば、再交付を受け付けてくれます。
再交付も手数料は無料です。
2,同じ戸籍を何通も請求しなくて済む
相続の手続きは、手続きをするところが複数あります。
銀行(複数あることが多いでしょう)
法務局(不動産登記)
陸運局(自動車)
証券会社
など
相続手続きにおいて、戸籍の原本は返却してもらえることがほとんどですが、
郵送のやり取りで時間がかかる場合もあります。
複数の相続手続きを並行して行いたい場合に、
戸籍をさらに用意するならば、また一式請求することになります。
現在稼働中の戸籍は一通450円程度ですが、
さかのぼって請求する「改製原戸籍」「除籍」は、一通750円です。
費用はもちろん、時間も手間もかかります。
「法定相続情報一覧図の写し」を複数枚入手しておけば、
戸籍一式を複数請求しなくて済みます。
3,相続手続きの時間を短縮できる
例えば、戸籍一式を銀行に持って行って、亡くなった方の口座について相続の手続きをするとします。
死亡した方の戸籍の枚数は多くなりますので、銀行の窓口等で読み込むのに時間がかかります。
戸籍は、単に名前が書いてあるだけでなく、
身分関係で起こった出来事が書かれています。
それらを読み込まなければ、親族関係がわかりません。
一方、「法定相続情報一覧図の写し」を提出すると、
比較的短い時間で相続人の関係がわかります。
何枚もの戸籍を読み込むのと、法定相続情報一覧図を見るのとでは、時間的に差が生じるものです。
法定相続情報一覧図を使う方が、基本的には、窓口での待ち時間が短くなると言って良いと思います。
法定相続情報一覧図、作成の注意点
法定相続情報一覧図の作成や、交付手続きの概要は、
法務局のWebサイトで確認できます。
「法定相続情報一覧図」「法務局」と検索すると、該当のページを見ることができます。
法定相続情報一覧図を作成するには、
法務局のWebサイトに「エクセル」の様式が掲載されていますので、
ダウンロードして使います。
実際に作成するときの注意点を少しお伝えします。
すでに死亡している人について
被相続人以外の人で、すでに亡くなっている方については、注意が必要です、
例えば、被相続人の子ども3人が相続人であるとします。
3人のうち、1人が、被相続人よりも前に亡くなっていた場合、
その人は、基本的に、法定相続情報一覧図に記載しません。
相続開始時に、法定相続人ではないからです。
ただし、すでに亡くなっていた1人に子ども(被相続人の孫)がいる場合は、
代襲相続により、孫が相続人に当たるため、孫の名前を記載します。
一人での判断が難しいことも予想されます。専門家に相談した方が良いと思います。
住所について
法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載するかどうかは、任意です。
ただ、相続人の住所を記載すると、より手続きがスムーズな場合もあります。
住所を必要とする手続きにおいて、
手続き先が「法定相続情報一覧図の記載で足りる」と認めてくれれば、
相続人の住所証明書を手続き先で提出しなくても手続き可能なケースがあります。
住所を記載しておくと手続きに使えそうな場合は、住所を記載しておきます。
住所を記載する場合は、申出書等とともに、住所を証する書面を法務局に提出する必要があります。
相続人に外国籍の人がいる場合
相続人のうち、外国籍の人がいる場合、一覧図の作成・利用ができません。
相続手続きにおいては、戸籍一式などを持ち歩いて手続きを行います。
なお、外国籍の人については、「戸籍」に代わる書類が必要です。ただ、その国にどんな書類があるか?などによりますので、個別に調べて対応して行くことになります。
作成について全体の注意点
作成のポイントとしては、
正確に!
一文字の間違いもなく!
記載することが大切です。
一文字でも誤りがあると、不備の扱いとなり、作り直しとなります。
おわりに
自分が相続人になって申出人として初めて作成する・・となると、少し難しいかもしれません。
家族関係が複雑な場合などは迷うことが多いと思います。
戸籍における家族関係の記載について、読み込みを間違えてしまうと、
一覧図の作成をやり直す可能性もあります。
もしも、これから法定相続情報一覧図を作成するならば、専門家に任せるのも一つの方法かと思います。
戸籍の収集から法定相続情報一覧図作成・交付まで、専門家なら対応が可能です。
報酬の負担はありますが、いろいろ悩むよりも合理的な方法かもしれません。
作成の代理ができる専門家は、規定により、以下の資格者に限られます。
弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、
弁理士、海事代理士、行政書士です。
ご自分で作成される方は、戸籍をしっかり読み込んで、誤りのないように作成していただければと思います。
エコード行政書士事務所では、法定相続情報一覧図の作成、相続人の調査を承ります。
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料金は事案によって異なりますので、お見積りさせていただきます。